「太一は?」
気を取り直して城島が口を開いた。
「俺もあのバカ天使と一緒だよ。
リーダー・・・・えっと茂君の同僚の坂本君と眞王から言われて。
俺の場合は『戻ってこないか』の返答をもらってこい、が正式な命令だけどね」
肩をすくめて太一が言った。
「どうすんの?」
改めて城島を見る。
「眞王と坂本には悪いけど、戻るつもりはないなぁ」
城島があっさりと答える。
その答えに山口がホッとしているように松岡には見えた。
「・・・・やっぱりね。そうだろ」
「ぐっさぁん!!」
太一の言葉を遮って大きな声。
消えた長瀬が再び現れていた。
「・・・・」
「どうした?」
太一は呆れて閉口し、山口は首を傾げて問いかける。
「中居君に連れ戻せるまで帰ってくんなって追い出されました・・・・」
しょんぼりした様子で長瀬はうなだれた。
「じゃあずっと帰れねぇな」
「えぇぇぇっ!!!?」
あっけらかんと答える山口に長瀬が半泣きで迫る。
「どうするんすか!?俺これからご飯とかご飯とかご飯とかはどうすればいいんですか!!」
「・・・・飯かよ」
「ならここにおればええやん」
にこにこと城島が言った。
「え?」
「僕らずっとここにおるし、部屋も余っとるし。そもそも大勢の方が楽しいやんか」
「・・・・いいんですか?」
「ええよ」
「・・・・シゲが言うなら仕方ねぇな」
あっさりOKを出した城島に山口はため息をついた。

「これからよろしくお願いしますっ!!」
こんな感じで天使が一人増えた。

















「太一」
「・・・・何」
眉間にシワを寄せてやりとりを見ていた太一に城島が話しかける。
「・・・・すまんなぁ」
「・・・・あんな奴等と仲良くできるアンタが理解できないよ」
天使なんて大嫌いだ。呟いて太一は背を向けた。
「・・・・報告してくる」
「太一。お前も・・・・」
「俺はアンタ以外に上司はいないと思ってる。だからアンタの言う事は聞くよ。
眞王の言う事なんてクソ食らえだし。でも天使は嫌いだから」
そう言って太一は姿を消した。
「複雑?」
悲しそうに目を細める城島に、ずっと黙っていた松岡が声をかける。
自分には解らないからと黙って朝食を食べていたのだ。
「おん。ちょっとあってなぁ・・・・」
「そっちも大変だねぇ」
松岡の言葉に城島は苦笑いを浮かべた。
「てかさ、玄関どうすんの?茂君の部屋もふっ飛んでんじゃん」
寒いんだけどと、ふと松岡が疑問を口にした。
「ああ、大丈夫やで〜。こんな時のために・・・」
パチン、と城島が指を鳴らした。
軽い浮遊感とパキンと音とともに玄関や階上が元の状態に戻る。
「え!?直った!!」
「太一が雷落とすって思ってん、2階に行くとき結界張っといたんよ。
ボクが2階行くときなんか眩暈せぇへんかった?」
ニコニコと城島が松岡の顔を覗き込んだ。
「言われてみれば・・・」
「用意周到やろ?」
「その前にあの人が怒らないようにしろよ」
自慢げな言葉は松岡によってばっさり切られた。



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2006/02/26



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