遠いところで電子音がする。










ゆっくりと目を開くと、視界には見たことのない天井と見知った顔2つ。
「ぐっさん!!」
「よかった!!山口君起きたよ、松岡!!」
「リーダーも起きたよ!!」
3人の嬉しそうな声に、一気に現実に引き戻された。
声の方向を見ると、自分と同じくベッドに横たわる顔見知り。

「・・・・・・・あれ・・・・・・・・?」
ぽつり呟くと、太一が顔を覗き込んできた。
「山口君、生還おめでとう!!」
その顔は涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「・・・・・ぇ・・・・・・ゲームは・・・・・・・・」
「は?ゲーム?何の話?」
俺の質問に変な顔をする。とぼけているのか知らん振りだ。
横のベッドで茂くんも同じような顔をしていた。
「とりあえず先生呼んでくるよ!!」
松岡が嬉しそうに部屋を出て行った。
それを見送って、茂くんを有らん限りの力で抱きしめる長瀬を太一がどついた。



















レースのカーテンが揺れる。
病室の窓から爽やかな風が入ってきていた。


僕も山口も、前方を走っていたトラックの横転事故に巻き込まれながらも、
山口は足、僕は右肩を軽く負傷しただけで、無事生還した奇跡の人ということになっている。

らしい。

もちろん、あのゲームのことなんて、僕と山口以外は知らない。
途中参加していたはずの下3人も覚えてない。

とりあえず絞られることはなかったから、よかったのだけれど。

言えることは、アレが臨死体験というものなんだろう。
そういうことにしておいた。


というわけで、僕らはまだ大事をとって入院している。
何てったって1週間昏睡状態だったらしいから。


横のベッドでは山口が雑誌をめくっていた。
僕も差し入れされた漫画を読んでいたけれど、実は既読のもので、読む気がしなかった。

「・・・・・・・・・・・・・ねぇ、爺臭いこと言ってもいい?」
ふと、山口が呟く。
「なん?」
「あいつら、大人になったよね」
山口は苦笑いしながら、そう言った。
「今までずっと、守ってやらなきゃって思ってたけどさ、守ってもらったわけじゃん、あの時はさ」
「せやねぇ」
確かにそうだ。
あいつらは覚えてないけれど、確かに僕らは3人に助けてもらった。

まだまだ子どもだと思っていたけれど、そうでもなかったらしい。
「今度は守ってもらわなきゃなんねぇな」
「介護でもしてもらおか?」
僕らは笑った。

あの時は命を投げ出してもいいと思ったけれど、今は違う。

生きていたいと思う。

5人で。

僕も山口も、太一や松岡、長瀬だってそれを選んだんだから。

だから僕らはここに生きてる。










それにしても、あの死神3人はどっかで見たことがある気がするんやけど、さっぱり思いだせん。

これは歳ではなく、事故の影響ということにしておこう。















end






木葉さま、リクエストありがとうございました!!

そして一言。

意味不明すぎてすみません。

話が私の手から離れて動き出してしまい、これ以上手が付けられなくなってしまいました・・・・・・・・・。
こんなんでよかったでしょうか、木葉さま。

もう何か、言い訳すると余計に情けなくなるのでしません。
不思議なことが起きて命がけのゲームに参加し、九死に一生を得たということが伝われば満点だと思います。
ちなみに、ヒール、ブロード、ウェルはアルファベットでは、“hill”、“broad”、“well”と書きます。
日本語に訳せばモデルが誰だか判るかと思われます。

サイト開設1ヶ月に500打、ありがとうございました!!




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