思考回路を見てみたい

専用の高めの椅子に座って、准一が鼻唄混じりにお絵描きをしては自分を主人公に物語をしゃべっている。
横で退屈そうに座っている井ノ原は、絵が進むにつれて進んでいく物語に相槌を打っていた。
大人な井ノ原にとって、物語が進むにつれてだんだん変わってくる(しかも初めのものと矛盾する)設定は理解に苦しむものだったが、
親友からのアドバイスを思い出して、しっかりと対応していた。

「あんな、ジュンはおかねもちなんやで!」
「そうなんだー。(人間界ならすごいステータスだけど、地界じゃなぁ・・・)」
「いくらもってるの?」
「えー?80まんえん!」
「すごいじゃん!(安!)」
「そんでな、ちょきんが4まんあるんやで!」
「おぉ!いっぱいあるね!(現金の方が多いし)」
「でな、おうちには80まん7980えんあんの」
「へぇ〜。(細か!てか初めの全財産より多くなってないか?)」
「で、全部で81まん57えんあるんよ」
「・・・・・・・すごいいっぱいあるね!(えぇ!?最初と違うってか、計算違くね!?しかも57円ってどっから出てきた!?)」
井ノ原のリアクションに准一は気分を良くして鼻唄を歌い始める。
計算の勉強をさせた方が良いかな・・・・・・と不安に思っていると、今度はいきなりぐずりだした。
「んー、うまくできへん・・・・・・!」
「えー?何がー?」
「まーくん」
見ると人物が描いてあるようだ。
「上手に描けてるじゃん」
「そう?」
「納得できないんなら坂本くん見ながら描いてみたら?」
「・・・・・・・・・・・・。それもいいかもね」
「!?」
井ノ原を視線だけでチラ見して、准一は冷たく言い放つ。
そしてそのままお絵描きを続けていた。
あまりの衝撃に言葉が出ず、口を開けたまま黙っていると、それを見た准一が笑いだした。
「いのっち、おさかなみたい!」





「聞いてくれよ松岡!俺准一が理解できねぇ!!もうヤダー!!」
「小さい子は宇宙人なんだからしょうがねぇだろ。てか泣くなよウザいから」
「准ちゃんは宇宙人じゃねぇよ!」
「比喩に決まってんだろアホー!!!」
元気な言い合いは家の外まで聞こえてきたそうな。


2008/12/25

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