雪が降る
「まー君はヘタレなん?」
かなり急いだ様子でやってきた准一の言葉に、坂本は固まり、長野は小さく吹き出した。
「どうしたの、いきなり」
「やってなー、高いところ苦手で、暗いとこもダメで、虫もダメな人はヘタレって言うやでって言ってたん」
しゃがんで視線を合わせた長野に、准一は首を傾げながら報告する。
「准一・・・・・・・・・?」
その台詞に、背後から低い声が准一を呼んだ。
「・・・・・・・・・・・・・・誰がだ・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
准一はその声の方を見る。
視線の先には引き攣り気味な笑顔を浮かべた坂本がいた。
「・・・・・・・・・・・誰が言ってた・・・・・・・・・・・・・?」
「えー?いのっちが言っ」
「長野、ちょっと留守を頼む」
准一が最後まで言い切る前に、坂本は部屋から出て行った。
「?まー君どうしたん?」
「んー、ちょっとお仕置きに行ったんじゃないかなぁ」
首を傾げる准一に、長野は笑顔で答える。
「お仕置き?」
「あ、ほら。准一見てごらん。雪が降ってきたよー」
「あ、ホンマや!」
窓の向こうを長野が指差す。
准一が嬉しそうに窓の外を眺める一方で、どこからともなく悲鳴が聞こえてきたのを長野は聞いた。
2007/02/18
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