親バカ

「まーくん」
小さい手が彼を求めて空に伸ばされる。
「どうした?」
彼は優しい笑顔を浮かべて少年を抱き上げた。
「・・・・・・・・・・こわいゆめみたん・・・・・・・・・・」
「そっか。それは心細かったなぁ・・・・」
ぎゅっと抱きついてくる少年に、彼はそう言いながら頭を撫でる。
「大丈夫だ。もう怖くないよ。みんな傍にいてくれるから」
「・・・・・・・・・・・うん」
彼の言葉に、少年は安心したような笑顔を浮かべた。



「何て言うか、幸せそうだよねー」
「ていうか親バカな親父ってあんな感じなんじゃね?」
「じゃあ“お母さん”は誰になるの?」
「「え?そりゃ長野君でしょ」」
健・剛が声を揃えて長野に言った。
「えー?俺?」
「そんなこと言いながら、満更でもない感じじゃん」
「そしたら俺らが兄貴になるのか!!」
うひゃひゃと嬉しそうに剛が笑った。
「それにしても、バカ丸出しの笑顔だよねー」
少年を抱き上げる坂本の様子を形容した長野の台詞に、2人は黙って頷いた。


2006/12/27

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