他に誰かかがいたらそんな事しない

「あれ?准は?」
部屋に入ってきて、第一声がそれだった。
「・・・・・・・・・・・・・剛とどっかに行った」
ぶっきらぼうに長野が答えると、坂本は笑った。
「何で笑うの」
むすっとした様子の長野の横に腰掛ける。
そして掻き回すようにその頭を撫でた。
「おー、よしよし」
「何すんだよ!」
顔をわずかに赤く染めて坂本の手を振り払う。
「?ヤキモチやいたんじゃねぇの?」
「違うよ!」
不思議そうな顔をした坂本に、噛み付くように反論する長野。
「や、だって面白くなさそうな顔したじゃん。さっき」
「そんな顔してねぇよ」
「・・・・・・・・・・・・そういうことにしといてやろう」
「そういうことにするじゃなくて、そうなの!」
その言葉に取り合わず、坂本はクスクス笑う。
長野は悔しそうに坂本から顔を背けた。
「ムカつく」
「はいはい」
身体ごと坂本にそっぽを向いた長野を見て、坂本は笑いながらそう答えた。


2007/01/12

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