Happy Birthday!
突然手渡された両手に乗るくらいの箱に、彼は首を傾げた。
「何、これ」
「ケーキ」
「・・・・・・・・・何で?」
彼の問いに、渡した本人の坂本は微妙な顔をして頭を掻いた。
「や、こっちではあんまり取り上げねーけど、あっちだと盛大に祝うらしいからさ」
「何を?」
「誕生日。今日だろ?確か」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・あー・・・・・・・・・・・・・・・・」
ようやく、何となく合点がいった様子の彼に、坂本は小さく笑う。
「松岡曰く、生まれてきてくれたことを感謝する日らしいんだ」
「松岡?」
「茂君とこの・・・・」
「ああ!!」
頭の上にはてなマークを浮かべていた彼は声を上げた。
「ま、そういうことらしいからさ」
「そういうことって何」
「・・・・・・・・・・ここにお前がいてくれてよかったってことだよ」
照れくさそうに坂本はそう言って、乱暴に彼の頭をかき回す。
「わっ・・・・・なにすんだよ!!」
「いいから、長野に見付かる前に食っちまえ」
不満そうに文句を言った彼に、坂本は愉快そうに笑った。
そして彼に背を向けて、歩いていってしまう。
「クサイこと言ってんじゃねーよ!」
彼は顔を少し赤くしてその背中に声を投げかけた。
そして手の中にある箱の中身をこっそり覗いて、小さく笑みを浮かべる。
「・・・・・・・・・ありがと」
小さく呟いた彼の言葉は風に溶けていった。
2007/02/19
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