モノトーン
突然掴まれた感覚に振り返る。
「准?」
小さい手が自分の服を握っていたことに気付いて、その名を呼んだ。
「どしたの」
「まーくんもひろしもおしごとなんやって」
「お留守番してたの?」
「うん」
しゃがんで視線を合わせて訊いてやると、少し心細そうに准一は答える。
「えらかったねー」
少し心細そうなその様子に頭を撫でる。
嬉しそうに笑った准一に、健も笑い返した。
「今から剛のとこ行くけど、准も来る?」
そう訊くと、准一は目を輝かせる。
「ええの!?」
「いいよ。連れてってあげるよ?」
「いく!」
「じゃあ行こっか」
そして健は准一の小さな身体を抱えて、その羽根を広げた。
「うわぁ〜!けんくんのはねきれー!」
「でしょ」
「みぎはしろで、はんたいはくろなんやねぇ」
「剛とお揃いだよ」
「ええなー」
鮮やかに色の分かれた羽根に見惚れる准一に、健は照れくさそうに笑う。
「さ、行くよー」
ばさりと音を立てて風を含んだ翼が2人を空に舞わせる。
そして、モノトーンの羽根は遥か地平線に向かって飛んでいった。
2007/02/27
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