午睡
下から覗き込んだ瞳が虚ろに揺れている。
「・・・・眠いの?」
「・・・・・・・・・・・・別に」
俺の視線を避けるように目を閉じ、眉間にシワを寄せた。
「眠いなら寝ればいいじゃん。俺に構わずに」
肘をついていた腕を外し、坂本君は立ち上がる。
そしてもう一度椅子に座った。
「仕事がある。まだ寝れない」
「『睡眠不足じゃろくに仕事はできない』」
再びペンを握り締めた坂本君に、俺はそう言った。
意味がわからない、といった様子で坂本君は眉を寄せる。
「俺にそう言ったのは誰だっけ?」
そう続けると、少し間を置いて、気まずそうに視線を逸らした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そして、坂本君は黙って立ち上がり、俺の座っているソファの傍に来る。
そして、乱暴に俺の横に座り、勢いよくもたれかかってきた。
「わっ!!?」
「・・・・・・・・30分で起こして」
坂本君は、俺の膝に頭を微かに乗せて、小さく寝息を立て始める。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おやすみ」
誰かがいる中では眠らないと井ノ原に聞いた気がするんだけどなぁと思いながら、
俺は着ていた上着を坂本君に被せた。
2008/04/13
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