ブラコン

ソファに座る小さい影を見て、井ノ原は顔を緩める。
「准ちゃ〜ん」
城島がプレゼントしたぬいぐるみの足を口にくわえて遊んでいた幼児は、その呼びかけに反応して井ノ原の方に視線を向ける。
「どうしたの?1人で〜?」
そう言いながら井ノ原が抱えた瞬間。
「いっちやぁぁぁぁあああ〜〜!!!!!!!」
思いっきり井ノ原の顔を手で押し退けて、大声で泣き叫び始めた。
「えええええ!!!?」
「どしたの准!!!」
その叫びを聞いて、隣の部屋から健が現れる。
「井ノ原君、貸して!」
貸して、というより半ば奪うようにして、健がその子を抱きかかえると、あっさりと泣き止んだ。
「井ノ原君、これから抱っこ禁止ね」
「ええええ!!?何その仕打ち!!!!ヒドイ!!!」
井ノ原が泣きながら部屋を飛び出していったが、健はそれを視線で追いかけることもしなかった。


2006/12/28

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